銃声は三つ。
紅く錆びた鏡に嗤え
跳ね上がる級友の体は何だかとても愉快だった。笑いが腹の底から込み上げてくる。
「残念」
地面に倒れた千草貴子に向かって言ったのは紛れもない本心。
残念だわ、本当。だって貴女、ホンモノの美人だったのに。
殺セ奪エ破壊シロ――――――何を?
自分に害為すもの全てが対象。
声を立てず、誰にともなく笑ってみせる。可笑しくて仕方がない。
当然だわそんなこと、当たり前じゃないの。それがルールなのよ、このゲームの。
友達だの仲間だの馬鹿みたい。生き残るのは一人で充分なのよ。
「しまったわ」
山の中腹に腰を下ろして独り言。
思い出したのはコルト・ガバメントを向けた後ろ姿。
斬ったらさぞかし綺麗だったでしょうに。
そう、どうせならあんなしょうもない連中じゃなくて………
―――――あら、もしかしてあたしったら本当にレズっけがあったのかしら。
遠くに銃声が聞こえた。
これでまた敵が減った。
相馬光子は笑った。手にした鎌がその笑みを映して鈍く光る。
これほど自分に似合いの武器もないだろうと、慣れた感触を確かめ、彼女は立ち上がる。
堕天使などでは生温い。
鎌を掲げるのは死神でなければならない。
「草刈り鎌じゃ格好つかないわね」
心にもない科白を胸中に吐いて、光子は歩き出した。
次の標的を狩る為に。
◆END◆
by Kosako Thank you! xxx
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