あんたなんかおらんで良かったんや。
いや、むしろおらん方が良かった。
なんであたしの邪魔、すんの?
望んだことなんかちょっともあれへんかったやん。
どういう因果であたしんとこ、来たん?
お母さん、
お母さん、
お母さん。
あたしを見てよ。あたしはいるよ。
ねえ、どうしてこっち、見てくれないの。
ああもう気ぃ悪いわ。
何で若い身空で子持ちにならなあかんねん。
誰の子かも分かれへんしほんま難儀やで。
金持っとったらなぁ絶対堕ろしたっちゅうねん。
付き合うとった男らはそんな金誰も出してくれへんかったし、
おめでとう、元気な子を産んでくれ、
てアホなおっさんがゆうたからそれ受け入れるしかしゃあなかったけどな。
アハハ、あのおっさんめっちゃアホやったでほんま。
あたしのことお姫様扱いやったもんなぁ。
絶対気づけへんかったやろう、あたしに男いっぱいおったって。
二人だけのシアワセな恋人同士、とか思ってたんとちゃう?
出来た子どもは愛の結晶ってか。あーさぶ。
金持ってへんかったら誰が相手するか。不細工嫌いなんじゃ。
ま、結局、結婚しよ、ゆわれて気色悪うて逃げたけどな。
勿体なかったかなぁ。ええお財布サンやったのに。
お母さん。ねえ、お母さん。
おへやのでんき付けないの?
まっくらだよ。あたしこわい。
お母さん……。
でもこれもしゃあないけどな。まだまだ遊びたかってんもん。
金も大事やけど自由はもっと大事や。
この子もついでに押しつけて来られれば良かったんやけど。
流石にそれは無理やしなぁ。ほんま邪魔やで。
あたしの子だけあって顔だけはまたえらい可愛らしいけど。
商品価値は有りそうなんが救いかな。
がっこうでね先生が言ってたよ。
お母さんありがとう、
っていつも思いなさいって。
ごはんつくってくれたりおせんたくとか、
おふとんをしくのも。
ぜんぶあなたたちのために
お母さんはしてくれてるでしょう?って。
だからあたし先生に言ったよ。
あたしのお母さんはしないよって。
ねえ、お母さん?
でも救いでも何でも邪魔なもんはやっぱり邪魔やわ。
変な目つきであたしのこと見るしな。今もやでむかつくわー。
何やねんあんた。鬱陶しい。自分のこと何や思てんの?
あんたはあたしのお荷物や。よっく覚えとき。
あんた抱えてるせいであたしの自由は半減してんで。
まだちっこい思とったら嫌味な口きいてまあ。
世話したってるだけ有り難い、て思うこと知らんねんな。図々しい。
ならせいぜいあたしの役に立つことして貰おか。
ちょっとくらい親孝行しいやな。
お母さん。ねえ、どこにいくの。
もう夜よ。寒いよ。
ここはどこ。おじさんたち、
おかあさんのおともだち?
あたしそうまみつこ。
こんにちは。
お母さん。それなあに?
いいもの?
どこいくの?
あたしを置いていかないで。
お母さん、
◆END◆
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